デザインライフ設計室

鎌倉の住戸

House in Kamakura
renovation

団地の一住戸を全面改修した「鎌倉の住戸」は5階建ての団地の最上階に位置します。

屋根と外壁に接する面に手厚い断熱補強を施すことで、温熱環境を改善しました。周辺の豊かな自然環境と呼応した、築古の団地の印象と住み心地を一新した住まいです。

Yさんは、子どもが生まれたのを機に引越しを考え始めた頃、この団地に出会いました。
もともとリノベーションを前提に、スケルトンに近い状態で売りに出ていたそうです。もう少し駅に近いところで探していましたが、周辺の自然環境がすっかり気に入ったと言います。
「建築家に依頼しようと決めてからネットなどで情報を集め始めました。気になる事例を見ていると、そのほとんどが青木さんの設計によるものでした。全体的なバランスも良いし、細かいところまで、どこにも違和感がありませんでした。全体の費用だけが気がかりでしたが、実際に相談をしてみると住宅ローンも通りそうだったので、この物件を購入してリノベーションをする決断ができました」(Yさん)。
「最初にお伝えしたのは、部屋ごとに仕切りをつくらず、どこに居ても気配が感じられるようにしてほしいことと、外の光を取り込みたいということだけでした」(Yさん)。
「設計がまとまったあとの最初の見積は、予算をオーバーしていました。金額の調整をする中で、本当に必要なものだけが最後に残りました。当初の設計とは多少変わりましたが、結果的には、よりシンプルな空間になったのがよかったと思っています」(Yさん)。
「せっかく建築家に頼むのだから、青木さんにお任せしたいと思っていました。自分たちでは思いつかないことを提案してほしいと期待していたので、斜めの壁を提案された時は、頼んでよかったと思いました」(Yさん)。
もともとは、壊すことができないコンクリートの壁が不規則に配置され、南北それぞれに個室が並ぶ間取りでした。新たにもうけた斜めの壁により、南北で分断されていた空間が、ゆるやかにつながるように工夫されています。
北側の寝室にいても、壁を辿った視線の先に南側の窓の外が見えたりするんです。思いもつかないことでした。この壁があることで風が南北によく通ります。空間的にも抜けがあることで、部屋と部屋のゆるやかなつながりが感じられてよかったと思っています」(Yさん)。
間仕切りが少なく、開放的な住まいですが、家の中で極端に暑かったり、寒かったりする場所がないそうです。
「間仕切りが少ない室内では暖房をつけると空気が回り、室内が全体的に暖かくなります。夏にエアコンを使うのは8月の暑さのピーク時くらいです。窓を開けると風が抜けます」(Yさん)。
内部の仕上げは、ほぼ中央にある玄関と水廻りのエリアだけをラワン合板の茶色い空間にしています。南側と北側は白い部屋として、白と白の間に茶色の異なる空間を挟むことで、奥行きが感じられるようにしています。キッチンや本棚をラワン材でつくることで、それぞれの部屋にイメージが散りばめられているので、全体の統一感が生まれるように考えられています。
「実際に暮らしてみると、快適で気になるところはありませんでした。居心地がよいので、たまに外でお茶をしても家の方がいいと感じるほどです」というYさんご夫妻の言葉から、家づくりに満足している様子がうかがえました。
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