【日々】木製ドアのメンテナンス
2020年2月10日
つい先日、事務所の木製玄関ドアのメンテナンスを行いました。
事務所移転時に新しくした木製ドアなので約4年半の間、何も手入れを行わずにここまで来ていました。
ほぼ真西の方角を向いているので天気の良い日には激しい西日を浴びてきました。庇もそれほど大きくないので雨も相当かかりました。
そのため、特に下の方は黒くなるほどに傷んでしまい可哀想な状態でした。
ここまで放置したのには(一応)訳があります。
弊社では木製の玄関ドアを設計の中で取り入れることがとても多くあります。
その経年変化の状態をクライアントにお見せする目的もあり、手を加えずにいたのですが、流石にそろそろお手入れをしておかないと長く使えなくなってしまうのでメンテナンスをすることにしました。
今回、日頃からお世話になっているオスモ&エーデルさんの全面的な協力を頂き、二日掛けて私のような素人でもできる範囲でクリーニングとメンテナンスを行いました。
以下、その手順とそれぞれの状況を詳しく写真でご紹介していますので是非ご覧いただき、参考になさってください。
※木製の玄関ドアの材質はピーラーです。枠はツガを使用しています。
約4年半経過した西向きの木製玄関ドアの全景です。下の方は雨の度に濡れてしまい黒ずんでいます。
最初は汚れを落とすためにクリーニングを行います。今回は市販の業務用アルカリ洗浄剤を使用して、アク抜きとシミ抜きの2工程を実施しました。
はじめは2液混合タイプの木部アク抜き剤をA液1:B液1の割合で混ぜます。
混ぜたアク抜き剤を刷毛で直接、扉に塗りつけていきます。
あまり待つことなく、汚れが浮き上がってきます。
扉全体にアク抜き剤を刷毛で塗ります。
扉全体に塗り終わったところです(下写真)。まだら模様が少し気持ち悪いですが気にしません。下の方が特に汚れの浮きが多いのが分かります。
次はナイロン製のたわしを使います。ホームセンターなどで手に入る一般的なものです。
ナイロンたわしで浮き上がった汚れをふき取っていきます。
汚れがたまったらバケツにいれた水で(冬場はお湯が良いです)すすぎながら繰り返し全体の汚れをふき取ります。
続いて、シミ抜きを同じく刷毛で全体に塗りつけていきます。
シミ抜きを全体に塗り終わったら、ウエス(シャツの端切れやボロ布など)で拭き取ります。
アク抜きとシミ抜きが終わったところです(下写真)。クリーニング前と比べると明らかに扉の色が明るく綺麗になりました。
ここまでの作業時間は約2時間でした。一日目の作業はここまでです。
このまま一日放置して自然乾燥します。
翌朝の状態です。自然乾燥が進んで少し色が落ち着きました。
二日目の作業は夕方からの予定なのでこのままもう少し放置しました。
二日目の作業はペーパー掛けからです。紙やすりで全体をこすり平滑にしていきます。使った紙やすりは「120番」です。
サンディングブロックに紙やすりを取り付けて全体を均一にこすりました。
ペーパー掛けが終わったら、再度養生をしてクリア塗料を塗る準備をします。
今回、メンテナンスに使用する塗料はオスモ&エーデルの外部用クリア塗料ツヤ消し「701クリアープラス」です。
最近弊社で設計した住宅では外部用クリア塗料はこれを選ぶことが多いです。
缶を開けたら缶の中に木製のかき混ぜ棒を入れてよく混ぜます。
(かき混ぜ棒は割りばしでも代用できます。良く混ざれば大丈夫です)
よく混ざったら適量を別の容器に移します。
今回は市販の塗料用の使い捨てパットを使用しました。
最初は細かな部分(際など)を刷毛で塗っていきます。
広い部分は専用のコテ刷毛を使用して塗っていきます。このコテ刷毛はオスモ&エーデルのオリジナル商品で、ホームセンターなどで売っているものと比べると少し高いのですが使い心地が良く作業効率が良いのでオススメです。施主施工などで何度も塗っていますがこのコテ刷毛だけは他で代用できないので多少高くても価値があると思います。ご興味がる方はオスモ&エーデルのホームページで購入ができますのでご覧になってみてください。
板の目で右から4枚目までがクリア塗装を塗ったところです。ツヤ消しですがこれくらいの濡れ色になります。
1回目を塗った後、1時間ほどおいて乾燥させてから2回目を塗りました。陽が沈むのが早いので2回目終了後には真っ暗になっていました。
これで全ての作業が終わりです。2日目の作業時間は約2時間(乾燥1時間を含む)でした。
翌朝の状態です。塗装直後に比べると濡れ色が少し落ち着きました。
すっかり綺麗になりました。下の方は元々の状態がひどかったので色むらになっています。もう少し早くお手入れをした方が良かったですね。
クライアントの皆さん、是非適切な時期にメンテナンスをお願いします。
個人的には今回のメンテナンスにかなりの手ごたえを感じました。また同時にメンテナンスの必要性も感じました。定期的なメンテナンスは絶対に必要です。
よくクライアントからご質問のある「松ヤニ」についてです。事務所のこの扉も当初2年くらいはヤニが出て、ベトベトしていました。その後はヤニが止まり、出ていたヤニ自体も乾燥していきました。3年くらい経過すると下写真のようにヤニの跡はあるものの、乾燥しているので使用上は気になることはありません。
今回のメンテナンスで汚れを落とし、紙やすりでこすり、クリア塗装を施したのでヤニの痕跡はきれいに無くなりました。
おまけですが、扉と同時期に自分で制作した看板はオイル塗装もしていなかったので今回ついでにクリア塗装をしました。事務所にお越しの際は合わせてご覧頂けました嬉しいです。