シンプルな小屋をイメージした建物の周囲には、時間を掛けて整えられた庭が広がり、四季をとおして異なる表情を持った豊かな風景をつくり出しています。

朝夕の時間帯に車の往来が多くある道路に対しては閉じた印象の外観ですが、一歩室内に入るとゆとりのある庭が目の前に広がり、開放感が感じられます。

もともと住んでいた神奈川県から信州・長野に移り住むことを決めたMさんご夫妻。神奈川県の住まいが完成して数年経ったのちに、再び設計の相談を頂いた時の高揚感は今でも鮮明に思い出すことができます。

以前の住まいは団地を改修したものでした。二度目となる家づくりは、過去の家づくりを通して得た共通の情報が多く、素材やディテールのイメージを共有できたことで、スムーズに進んでいきました。
「青木さんの設計はクールでもあり、ナチュラルでもある。そのさじ加減がいい」（Mさん）

この住まいの2階には屋根の傾斜に合わせたロフトのような寝室とゲストルーム。
寝室の西の窓からは、作業場の屋根越しに、山々が連なる風景を臨むことができます。

住まいにおいても作業場についても、それぞれに必要な要素を洗い出し整理していくことで、理想の暮らしに合うような場が自然と形づくられていきました。

Mさんの手によって丁寧につくられた庭は、訪れるたびに変化が感じられ、こだわりをもって整えられた住まいと共に、魅力あふれる雰囲気に包まれています。